弁護士 木棚 照一(第二東京弁護士会所属)
半世紀を越える研究生活で得た知見をもとに、弁護士やクライアントからの依頼で、裁判所に提出する鑑定意見書の作成を中心に弁護士活動を行なっています。
これまでの大学、大学院での教育・研究活動で養ってきた種々の外国の法律家との人脈が私の大きな財産です。例えば、韓国、台湾、大陸中国、タイなどに私の研究室出身の法律家が活躍しており、その外国の調査を依頼することができます。
中でも、国際私法分野・国際知的財産法分野・国籍法分野の鑑定が主です。
学生時代を過ごした1960年代のころから、島国であるわが国の社会は、「開かれた社会」に進化しなければならないと考え、研究を進めてきました。
その当時から在日韓国・朝鮮人の方々は全国に100万人以上おり、彼らの国籍・家族・相続問題については、渉外的に解決しなければならない問題と認識して積極的に研究してまいりました。
また、国籍に関するわが国の法の中には、現在のわが国の法状況と合わなくなっている規定が少なくありません。
「社会あるところに法あり」という言葉は、「社会が変われば国籍法の内容も変わるべきである」という意味を内含するとの信念で、国籍に関する諸問題にも関与してきました。
世界の国々に貧富の差があり、無国籍者や難民が生じている状況では、テロなどの暴力や地域紛争も尽きません。
このような問題を少しでも解決していくことが、わが国の社会を「開かれた社会」に進化させることにつながるようにとの思いで、活動を続けてまいります。
主な経歴
1941年5月27日 | 石川県鳳至郡鵜川町(現能登町)に生まれる |
1957年3月 | 石川県鳳至郡能都町立鵜川中学瑞穂分校卒業 |
1960年3月 | 石川県立輪島高等学校卒業 |
1964年3月 | 金沢大学法文学部法科Ⅰ類卒業 |
1965年12月 | 金沢大学法学部法学専攻科私法コース修了 |
1966年1月 | 金沢大学法文学部助手、文部教官教育職(-)4等級2号捧(1966年3月まで) |
1968年3月 | 名古屋大学大学院法学研究科修士課程修了(法修第68号) 修士論文題名:英米抵触法における国際相続法の諸問題 |
1968年4月 | 名古屋大学法学部助手(1970年3月まで) 文部教官教育職(一)4等級5号 |
1970年4月 | 立命館大学法学部助教授(1976年3月まで) |
1976年4月 | 立命館大学法学部教授(1997年3月まで) |
1977年4月 | 立命館大学法学部学生主事(1978年3月まで) |
1979年1月 | マックス・プランク無体財産法研究所(ミュンヘン)客員研究員(1980年9月まで) |
1981年4月 | 財団法人比較法研究センター理事(2011年3月まで) |
1985年4月 | 立命館大学法学部主事(1986年3月まで) |
1986年6月 | 日本工業所有権法学会理事(2011年10月まで) |
1988年5月 | 国際私法学会理事(現在に至る) |
1989年1月 | マックス・プランク無体財産法研究所(ミュンヘン)客員研究員(1989年3月まで) |
1990年4月 | 立命館大学教学部副部長(1991年3月まで) カナダのUBC(ブリティシュ・コロンビア大学)へ20年間毎年100名の立命館大学在学生を6か月間送り込むプロジェクトを担当。 |
1991年3月 | 著書『国際工業所有権法の研究』(日本評論社、1989年)により法学博士(立命館大学)博乙第110号 取得 |
1991年4月 | 立命館大学研究部部長(1992年3月まで) 大学の発明規程などの規則の整備、研究条件の改善に努めた。 |
1992年1月 | 司法試験第二次試験考査委員(国際私法)(1999年12月まで) |
1993年10月 | マックス・プランク外国私法・国際私法研究所(ハンブルク)客員研究員(1994年3月まで) |
1992年5月 | 国際法学会理事(2006年5月まで) |
1994年6月 | 日本国際経済法学会理事(2010年5月まで) |
1996年5月 | 著書『国際相続法の研究』(有斐閣、1995年)により第8回尾中郁夫家族法学術賞受賞 |
1997年4月 | 早稲田大学法学部教授(2003年3月まで) |
1997年10月 | 日本学術会議国際関係法学研究連絡委員会委員(2000年10月まで) |
1998年1月 | 浦和家庭裁判所参与員(2001年3月まで) |
1998年3月 | 工業所有権仲裁センター(現日本知的財産仲裁センター)調停人・仲裁人候補者(2004年3月まで) |
2001年4月 | 東京家庭裁判所調停委員(2012年3月まで) |
2001年5月 | 著作権法学会理事(2012年4月まで) |
2002年4月 | 東京家庭裁判所参与員(2012年9月まで) |
2002年10月 | 早稲田大学比較法研究所所長(2006年9月まで) |
2003年4月 | 早稲田大学法学学術院・大学院法務研究科併任教授(2012年3月まで) |
2004年4月 | 早稲田大学法学学術院副院長(2006年9月まで) |
2005年10月 | 弁護士登録(第二東京弁護士会所属)、早稲田大学リーガルクリニック法律事務所所属 |
2007年3月 | ハーバード大学ライシャワー研究所客員研究員(2008年3月まで) |
2007年10月 | 国際法学会名誉会員 |
2010年5月 | 日本国際経済法学会監事(2012年10月まで) |
2012年1月 | 長年にわたり韓国と日本の国際私法の発展に寄与し日韓の学者達の親睦を図るために励んだことを称えて、韓国国際私法学会会長より感謝牌を賜る。 |
2012年3月 | 早稲田大学定年退職 |
2012年4月 | 木棚照一法律事務所開設 (弁護士より依頼された知的財産法・国際私法・国際取引法関係の鑑定書が主) |
2012年4月 | 早稲田大学名誉教授の称号を授与される(第814号) |
2012年4月 | 著作権法学会名誉会員 |
2012年6月 | 公益社団法人 発明協会より長きにわたり国内外の知的財産関係の人材育成に尽力したことを評価され発明奨励功労賞を授与される |
2012年9月 | 東京家庭裁判所長より、東京家庭裁判所家事調停委員として多年にわたり家事事件の解決に努力し、任務を全うした功績により表彰される |
2013年4月 | 名古屋学院大学法学部教授(2017年3月まで) |
2020年4月 | 瑞寶中綬章受章 |
その他、非常勤講師(愛知大学法経学部(後に法学部)、金沢大学法学部、静岡大学人文学部、名古屋大学法学部、三重大学人文学部)など。
臺灣臺南地方法院におけるシンポジュームの際に賜わった「閲讀」の像。