高森八四郎 関西大学名誉教授のご逝去を悼む

あなたと初めてお会いしたのは、1965年秋の名古屋大学大学院法学研究科の入試の時でした。互いに他大学からの受験という気安さもあってか、口述試験の終了後一緒に東山動物園に行き、将来の希望について語り合いました。そのこともあって、同じ研究室で夜遅くまで頑張りましたね。大学院、助手の期間があなたと最も濃い付き合いの時でした。私の下宿の近くにあった「長崎ちゃんぽん」の店で酒を酌み合せながら夜通し学問に関する議論をした記憶があります。

互いに結婚し、子供ができた後も、梢さんを連れて京都南区にあった拙宅へ訪ねてくれました。時を経て何となく疎遠になってしまってからも、時折ともに酒を酌み交わす機会を作ってくれました。私もいつしか歳をとりました。いずれあなたの後を追い、あの世に行くことになると存じます。今、私は最後の研究書になるかもしれない著書(『現代社会のグローバル化に伴う国際私法原則の再検討―当事者意思の連結点としての位置づけ試論―』の原稿に集中しています。これを携えて何れあの世で再び学問的な議論ができることを楽しみにしています。この世でそれができなかったのは極めて残念ですが、あなたのご冥福を心から祈っています。

惜別の念を込めて     2023年1月12日 早稲田大学名誉教授、弁護士 木棚照一拝

 

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